正面にバー・カウンター、そしてその奥にカット・ガラスが嵌め込まれた扉つきの飾り棚が造り付けられ、内部には夥しい数の酒壜が並べられていた。殆どの容器が個性的な形態の透明な壜であるところから、特別なしつらえのグラッパが詰められているようだった。

右手の開口部には中庭に面して小さいバルコニーが設けられ、深緑色に塗られたスチールの両開き扉が取り付けられている。そしてその窓の前に、天井いっぱいの高さでレースとドレープのカーテンが吊り下げられていた。

「私が昼寝をする部屋ですよ。さあ、もっと奥へどうぞ」

室内を見回すと、確かに右隅にベッドがある。反対側には赤い革張りの小椅子が二脚と、その間に、寄木細工で象嵌された楕円形のテーブルが置かれている。

左側に目を転じると、壁の中心に飾られている油絵こそ、まさにピエトロ・フェラーラの第一作、《緋色を背景にする女の肖像―災難の終焉への感謝》だった。

天井には二基のスポット・ライトが取り付けられ、透明感のある暖かい光を絵に照射させている。外観から判断すると、ハロゲン球を装着し、スプレッド・レンズとUVフィルターとがダブルに重ねられているような、かなり特殊な照明器具だった。