部屋は、ダリ、モロー、クノップフ、シャヴァンヌ、ルドン、クリムト、ムンク、キリコ、デルヴォーなどの油絵で埋め尽くされていた。

それは思わず息を呑むように華麗なラインナップで、ここにある絵の価値だけでも天文学的な金額になると思われるほどの傑作ばかりだった。

「ここには人間の運命的なものを暗示するような絵だけを特別に飾っているんですよ。だからピエトロ・フェラーラの絵も同じ軸線上に引っかかる」

「なるほど素晴らしいコレクションですね。ところで、フェラーラの絵はどちらに?」

宗像は飾られた絵画の中に求めるものがないことが分かって気が急いた。

「あの絵は特別でね。こちらです」

先ほど会長室から入ってきた扉の先に、それとは別の分厚い木の扉があった。コジモはそれを開けてさらに奥へ進んだ。続いて入ると、そこはさほど高い天井があるわけではなかったが、全面プラスターを塗られたシンプルな正方形の小さい部屋だった。