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前編
盆休みに入り、彼女と二人で会うことになったときは、嬉しさで一杯だった。
彼女の家の方面へ迎えにいくことに決まり、錆だらけのピックアップをできる限りきれいに掃除した。好きで使っていたココナッツの香りのエアーフレッシュナーも古くなっていたので新しいものに交換した。ポンコツが途中で止まってしまわないようにメンテナンスも念入りにした。
当日は早起きして身支度した。正直あまり眠れていなかった。短い無造作ヘアにいつも以上にヘアワックスをつけ、服はお気に入りのTシャツとジーンズを準備した。
Tシャツは脇汗が目立たない白色を選んだ。昔はTシャツが嫌いだった。細く色白の腕を出すことが恥ずかしかったからだ。けど今は波乗りをしていることで筋肉も多少つき、ピタっとしたTシャツを着ても抵抗なく、日焼けした腕を出せることが嬉しかった。
距離があるため早めに出発した。少し緊張していたせいか、期待をしていたせいか、片道二時間の道のりもあっという間のように感じた。
待ち合わせ場所の駅駐車場に車を停めると、無事着いてホッとするのと同時に、緊張感がより高まってきた。彼女に着いた旨をメールした。少しすると彼女から、「もうすぐ着く」とメールが届き、緊張感がさらに高まった。
ホワイトのSUVが駐車場に入ってきた。駐車すると彼女が車を降りこちらへ向かって歩いてきた。
お洒落でシックな上下黒っぽい服装で、写真展で見たポニーテールはほどいた姿だった。その姿に見とれながらも自分も車を降りた。
お互い久しぶりの再会を笑顔で少し照れくさそうに挨拶した。そのとき、服装や髪型が似合っていることを伝えたが、正直何をどう言ったのか、緊張のあまり憶えていない。
彼女は少し照れくさそうに、
「ありがと、けど上下黒っぽくなっちゃったんだわ」
そう言うと、私の車を珍しそうに見て、
「でかいね! これ何て言う車? 見たことない」
「ちょっと待ってて」
そう言うと、彼女は車のなかから一眼レフのカメラを持ってきた。