子どもを支える4つのタッグ

本来ならば、自治体も含め、医師、教師が子どもや親を支えなければいけません。しかし、発達障がいのお子さんがいる家庭では、それらの支えが十分ではなく、親御さん(主に母親)に負担がかかってしまっているのが現状です。

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自治体、医療、学校を隔てる壁が多いためか、横の連携がうまくなされていません。相談する親御さんがいろいろなところへ回され、翻弄(ほんろう)されているのです。

小児科は精神にうとく、精神科は小児にうといのは、随分と昔から言われてきたことでした。しかし、改善する兆しが見えないまま子どものうつ病は見逃されてきました。

21世紀に入り、小学生の1割がうつ傾向と言われる時代です。その大きな原因がいじめです。陰湿ないじめがクリニックに訪れるお子さんからも聞かれます。

登下校中傘で突かれたり、周り全員のランドセルを持たされたり、石を投げられたり、休み時間にも無視されたり、先生のいないところで蹴られたり叩かれたり、ひどいこと(「シネ」「ウザイ」など)を言われたり……。

生徒ばかりでなく、教師や学童保育の先生からのいじめもあるようです。教科書を捨てられたり、生徒の質問に答えてくれなかったり、気に障ることを言われて地面に叩きつけられて怪我をしても、保健室にさえ連れて行ってくれなかったり、言うことを聞かないと地面を引きずり回してでも言うことを聞かせたり……。

このような事実は本人からではなく、それを見ていた周りのお子さん(主に女児)たちが、あまりにもひどいと帰ってから親御さんに伝え、その親御さんがいじめられた家へ電話して初めて発覚します。

被害にあったお子さんは親御さんに、いじめの事実を言えないのです。いじめのターゲットになりやすいのが受け身型の自閉スペクトラム症のお子さんです。いじめられても黙っていることが多いので安心していじめを続けられるのです。

いつしかうつ病となり、最終的に自分に注目されたくて自殺という手段をとる危険性も含んでいます。高校生や大学生でも同じようなことが起こっています。

年齢を重ねていくにつれ、人目を気にして保健室や保健センターには相談しに行けません。周りがお子さんの変化を早く気づいてあげて保護してあげなければならないのです。