図書館
アッキーは自宅に帰りすぐにベットに飛び込んだ。仰向けになり天井の幾何学模様をぼっ~と眺めながら、『双極性障害(躁うつ病)は完治するのが困難とされています』この言葉がいっときも頭から離れないでいた。
アッキーはなんだか心が折れそうであった。いや、もうぽっきり折れていた。見て見ぬふりをしていた現実が目の前に迫ってきたのである。頭の中から払いのけたいのにどんどん大きくなり、図書館で調べた文字たちが切り裂かれた刃のようにとがっていた。
確かに以前のような元気なアッキーママを返して欲しいと何度も思っていたが、その一方でごろごろ寝ているのを蹴飛ばしたい衝動になった事があるのも事実だった。アッキーママが居ないと思えばいいと最悪な考えをしていた自分に吐き気がした。ずっと現実に目をそらして気付かないふりをしていた様々な出来事が一気に襲ってきた。
その晩、アッキーはあまり眠れずに朝を迎えた。学校に行ってひまりの顔を見たくないと、初めてアッキーは思った。
外の天気はよく晴れていたが、アッキーの心の中は灰色の濁った水がうねるように回っていた。そして、重い足どりで教室のドアを開けた。ひまりが、そのドアの音に気付き振り返った。
アッキーだとわかりその姿を目で追いかけたが、アッキーはまるでひまりを避けるように浩司に声をかけた。
「おっす、浩司。おはよ、今日、放課後空いてる? 一緒に遊ぼうぜ」
アッキーは昨日のひまりと図書館で色々と調べたことは忘れてしまいたかった。