「ぼくは、てんこうするたびに、いじめられてきた。いじめられるのは、なれっこだ」

し~んとなったきょうしつに、ヒロユキの声がひびきました。

「でも、ぼくがいつもゆるせないのは、いじめっ子よりも、そのまわりにいる、ひきょうなゴミだ!」

ヒロユキは、まっすぐムッチーをゆびさしました。

「な、なんだとぉ?」

ムッチーのかおが、みるみるまっ赤にふくれました。

あっという間に、ヒロユキとムッチー、ヤマトとレオの、ケンカがはじまりました。

クラスの男子たちは、プロレスリングを作るみたいに、サッとつくえをよせました。

「やれやれーっ!」

「どっちもまけるなーっ!」

ヒロユキとムッチーは、おたがいのほっぺたを、にくらしそうにつかみ合っています。 

ヤマトとレオは、馬のりになったり、のられたりしながら、ゆかをころげました。

「ちょっとぉ、やめなさいよーっ!」

女子たちは、小さなお母(かあ)さんぐんだんみたいに、プリプリおこっています。

ところが、いつまでたっても、ケンカはすすみません。