ユキチのめがね

「なにやってんだよ、レオ。なんで、ヤマトをなぐらないんだ?」

「ヤマトも、さっさと一発、おみまいしてみろよ!」

男子たちが、はやし立てました。

「ムッチーとヒロユキも、ほっぺたばっかり、つねり合ってんじゃねーよ!」

「おまえら、女子か?」

みんな、わっとわらいました。

しかしヤマトとレオも、ヒロユキとムッチーも、ぜんしんに力をこめて、あせびっしょりになっています。

ムッチーの目からは、水がポロポロとあふれてきました。

「こらーっ!」

きょうしつに、おそろしいオニガワラが、入ってきました。たんにんの、小川先生です。

「やめなさい!」

四人はひきはなされて、ハァハァと、かたでいきをしています。

ほかのみんなは、いっせいにつくえをととのえて、なにごともなかったかのように、せきにつきました。

オニガワラ先生は、まっさきにレオにむかって言いました。

「まさか、さっそく、てんこう生をいじめてたんじゃないよな?」

レオはなにも言えず、下をむくばかりでした。

そのときヒロユキが、声をあげました。

「先生、レオくんはヤマトくんを、一発もなぐったりしてません! ぼくとムッチーだって、ちょっとふざけてただけです」

きょうしつが、少しざわざわしました。

レオたちも、よこ目でヒロユキを見ています。