ユキチのめがね

「な、なんだよ、いきなり…」

おどろいたレオから、ニヤニヤわらいがきえました。

「なぁ、どうなんだ?」

ヤマトはグイグイと、レオにむかっていきます。

「そんなの、エモノにされるやつが、わるいんじゃん。なかまはずれにされたくなければ、おれみたいに強くなればいいだろ?」

レオは、そう言いかえしました。

「ヒロユキは、弱くなんかないよ」

ヤマトも、まけていません。

「それに、レオこそ、ちっとも強くない!」

「なんだと?」

「ほんとうに強いやつは、だれかをエモノになんか、しない。なかまはずれは、弱くてひきょうなやつがすることだ!」

ヤマトは、こころの声を、一気にはき出しました。

「ヤ…ヤマト…」

レオは、ぺたんとしりもちをつきました。

「おれは、いつだって、ヤマトのことを…」

「わかってるよ。だから…だよ。ぼく、だれかをエモノにするレオなんて、いやなんだ!」

きょうしつが、し~んとなりました。

やがてムッチーが、オドオドしながら言いました。

「おい、ヤマト、レオにさからうなよ」

ムッチーは、コソコソつげ口するみたいに、ささやきました。

「レオが本気を出せば、おまえなんか、ボコボコにされちゃうんだぞ?」

すると、こんどはヒロユキが、すくっと立ちあがりました。