きのうとは空気の色が違いたり母が何処にも居ない世界の
東京のエアー・ポケット古書街を初老の男の影が行き交う
店先の黄土色した古書たちに二月の光やわらかく差す
―ああだから月はみんなに愛されるんだ自分ひとりを見てる気がする―
夜明けに人知れずそっと咲く花のように、
それでいいんだよ、と許してくれるような、
自分のかわりに、幸せを願ってくれるような。
心に灯りをともす、優しくあたたかな短歌を連載にてお届けします。
きのうとは空気の色が違いたり母が何処にも居ない世界の
東京のエアー・ポケット古書街を初老の男の影が行き交う
店先の黄土色した古書たちに二月の光やわらかく差す