「気を付けてお帰りください」

もうアッキーママに会えないのだ、帰るしかないのだろうか? インフォメーションの背の高い男性は、まだこちらを見ている。

やはり、帰るしかないのだろうか? ひまりは黙ったまま下を向いている。

アッキーは疲れ果てて待合室の椅子に座ると、ひまりも同じように座った。アッキーはサッカーの練習を途中で抜け出してから、水一滴も飲んでいなかった。こんな日に限って水筒は忘れて来てしまった。販売機でお茶を買おうとしてお財布を開けると、帰りの交通費ほどしか残っていなかった。販売機の横にウォータークーラーなど設置されているはずも無かった

。アッキーとひまりが病院に来た時から、その一部始終を見ていた紳士がいた。名前は田畑さん。