おんぶ
ようやく病院の玄関にたどり着いた。果てしなく長い時間が過ぎたように思えた二人だった。
ひまりを背中から降ろすと自動ドアを通り抜けた。この時アッキーは自動ドアがこんなにものろく開くのかと、足踏みするようにして入口から病院の中に入った。
後ろにはひまりがきちんと付いて来ていることを確認した。もう、あまり時間がないので焦っていた。
少しでも良いからアッキーママに会いたかった。ひまりも同じはずだ、いや、アッキー以上に会いたいと思っているのに違いない。
インフォメーションと書いてあるブースが中央にあった。アッキーとひまりはそこに駆け寄った。
眼鏡をかけた女性と、背の高い男性が立っていた。アッキーは、
「すみません、アッキーママの息子です。アッキーママに面会をお願いします」
急いで来たから、まだ息が荒く声が少しかすれている。眼鏡をかけた女性がにっこりとして、アッキーとひまりを見た。
まだ、幼い二人を上から下へ、下から上に舐めるように見てから、用紙とボールペンを渡された。アッキーママの名前とアッキーの名前を書いた。