発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために

“「発達障がい」は治療ができない難病ではありません。具体的な向き合い方、どうすれば症状は良くなるのかといった筋道はあります。早期発見・早期介入が求められるのは、治療が早ければ早いほど症状に改善がみられるからです。”医療現場の実情、最新の診断・治療法を専門の小児科医が解説していきます。

ADHDは、治療でどのような効果が現れるのか

自閉スペクトラム症+ADHDと診断された小学1年生の男の子、G君。医師の診断を受け、薬による治療を始めたものの…?

「薬の量を増やして2カ月経ちましたがきちんと飲んでいます」

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薬は忘れずに飲んでいるようです。カプセルが飲み込みづらいと最近訴えるようになったので、つぶしたり、ゼリーと一緒に飲んだりして飲めるように工夫をしていると言います。

継続が何よりも大切です。無理して飲ませると、お子さんは薬を飲むことをごまかすようになります。G君の母親のような工夫は、ぜひ取り入れてください。

「学校でも泣かなくなったようですが、ただ心配ごとが一つあります。実は本学級のクラスと相談教室(特別支援学級)のクラスでの様子に差があるみたいなのです」
「それでは、ADHD問診票を記入する際に『記入の手引き』を見てから記入してみてください」と母親に頼みました。

すると、担任から今まで認識していたものとズレがあったと、正直な意見が聞かれたのです。改めて母親と本学級と相談教室、それぞれ別々にやってもらうと、母親は不注意型も多動・衝動型も、9項目中3項目にチェックがあり、本学級の担任の方は、不注意型は9項目中9項目、多動・衝動型は9項目中5項目にチェックがありました。

一方、相談教室の担任は、不注意型が9項目中2項目、多動・衝動型においては、9項目中1項目しかチェックがなかったのです。この差を踏まえて診断をしていったところ、本学級は人数が多くて、周りがうるさいため、集中できていなかったことがわかったのです。さらに服薬を続けると4カ月後には、カタカナを覚えられるようになり、宿題は母親がついているだけで手助けしなくても一人でやるようになったそうです。

「DRCのすべてのポイントがもらえて、担任に褒められました。夏休みの宿題も去年はひらがなが読めなかったのでやりませんでしたが、今年は私がひと言やりなさいと言っただけでできました」と母親は実に嬉しそうに話してくれました。