エッセイ 日本画 2020.12.22 その一言を吐くために、どれほどの勇気がいったことか 身体中の痛みの中 身体中の痛みの中 「美智子 もう日記も書けなくなった」 その一言を吐くために どれほどの勇気がいったことか そこまで かあさんは病んでいたのに… ゆったり 手を差しのべることができなかった 写真を拡大 「月光爽緑」 かあさんに死なれて 今はじめて かあさんに出会い 向きあってるよ 大きな大きな ふところへ 写真を拡大 「春風香」
小説 『娘からの相続および愛人と息子の相続の結末[人気連載ピックアップ]』 【第10回】 川井 れもん 娘の葬儀代は1円も払わない、と宣言する元夫。それに加え、娘が生前に一生懸命貯めた命のお金を相続させろと言ってきて... 次の日から雄二と2人で、市役所に提出する書類の整理や墓に納骨をするなど、予想以上にやらなければいけない事が多かった。そのためここ数日、私は身体に激しい痛みを感じて我慢できなくなっては休憩して、回復してから行動しての繰り返しだった。それでも、なんとかやらなければならない事をすべて終了させて、やっと直美の遺産相続の手続きをする事になった。この手続きは最初から姉に依頼しており、直美名義の口座がある銀行…
小説 『眠れる森の復讐鬼』 【第11回】 春山 大樹 入院初日の夜、男の怒号が病室の中まで響き渡る。旧知の仲の看護師のため、迷惑は承知の上で禍患を覗いてやろうという気になった。 午後九時に消灯なんて夜型の海智にはとてもじゃないが早すぎる。早寝早起きが健康に良いという理屈だろうが、午前六時に起きても九時間眠る計算になる。最近では最適な睡眠時間は人それぞれだと言われているのだから、睡眠時間を強制するなど医学的に遅れているのではないか。或いは単に電気代が勿体ないだけなのかもしれない。ただでさえ初めての入院で緊張しているのに、慣れない固めのベッドと枕ですぐ寝付けなんて無理難題だ…