地域の高齢患者の声に真摯に耳を傾ける医師が、その日常を綴る。コミュニケーションに悩む若い医師、必読。自ら「化石医師」と称するベテラン医師が語る、医療にまつわる話のあれこれを連載でお届けします。
孤独になるな
化石医師は市内の大企業2社、中津川市、また坂下地域の小規模事業所などの産業医も担当しています。その中で健診の事後指導や職場巡視の他にメンタルヘルスの相談も行っています。今月は8人もの方の相談を受けました。
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今まではあまりこんなことはなく、少し大きな数字のように思います。その中で気になったことは親を亡くされた、連れ合いに先立たれたことをきっかけにうつになられた方が多かったことです。
うつ病予防を目的とした当院の健康づくり人形劇『孤独になるな』は主人公の「小森勝」が喫煙習慣を断ち切れず肺がんになった親友を失い、さらに定年退職後に地域にも溶け込めず孤独になり次第にうつになっていきます。
自殺寸前までいきますが偶然に子供達との出会いがあり、それをきっかけに自分を取り戻しうつから立ち直っていく設定になっています。
先日もこの人形劇を放映しながら「うつ予防」を目的とした地域講演会を行いました。化石医師は元来が消化器内科、特に膵臓が専門でありメンタルヘルスの専門家ではありません。
ただ自身の今までの経験と文献からこのような筋立てにしました。ただメンタルヘルスの相談に乗る中でこのような筋立てはあながち的外れではなかったように思います。
さて産業医活動でメンタルヘルス障害の方々の相談に乗ったばかりでしたが、食事が食べられなくなったH1さんが入院してこられました。H1さんは最近ご主人を亡くされたばかりで独居になってしまいました。様々な症状を訴えられますが行った検査は全て異常なくやはりうつのようです。
その後に入院されたH2さんもまったく同様でした。やはりご主人を亡くされ葬儀などを全て終えた時突然何とも身体の置き場のない症状が発生しました。