地域の高齢患者の声に真摯に耳を傾ける医師が、その日常を綴る。コミュニケーションに悩む若い医師、必読。自ら「化石医師」と称するベテラン医師が語る、医療にまつわる話のあれこれを連載でお届けします。
教育と医療
たまたま見たテレビがふるさと松本の情報を伝えていました。市内にある旭町中学校桐分校の話です。旭町中学までは化石医師の生家からそれほど遠くはありません。同中学出身の高校時代の友も沢山います。
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その中学の分校。実は桐分校は日本でただ一つ刑務所内に設けられた分校です。その中学を卒業されることになった81歳の受刑者が、報道の主人公でした。
戦後の混乱期に中学に通えなかったその受刑者の方は桐分校で授業を受け、ようやく卒業となったのです。この卒業生が最後で桐分校を必要とする者はいなくなるとの報道でした。
義務教育の徹底により日本人はどんな僻地、離島においても最低9年間の教育を受けられます。化石医師は世界の教育については素人ですが、このような義務教育が日本人の資質形成に大きな役割を果たしていることは間違いありません。
たまたま読んだ台湾関係の本で、日本統治時代にまだ発展していなかった台湾において鉄道の整備、経済発展と共に、教育も重視され行われました。それが現在の台湾の発展につながっている。
日本が負けたことにより、日本に代わり中国本土から同胞が台湾に入り込んだ。しかしその無秩序さ、無教養さに台湾の方々は驚き、日本の統治を評価し直した。
その思いが今でも台湾人の日本びいきに結びついているとありました。この話が100%真実かどうかはわかりませんが日本の義務教育制度は素晴らしく世界に誇れるものと思います。
「日本人はどんなところにいても義務教育が受けられます。でも教育よりもっと大切な命を守るための体制ができないのはどういうことだ。何故医療を受けられない地域、無医村があるのですか」。