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「絵を売りに来た方はどんな人でしたの?」

「コインブラでギャラリーを経営している画廊仲間です。もっともお会いするのは初めてでして。《アート・ギャラリー・コインブラ18》という画廊です。はい、名刺交換をしておりますから……。ちょっとお待ちください。えーと……ああ、ここにありました。確かこれだ」

そう言いながら宗像にカラフルな名刺が差し出された。名刺には次のように書かれていた。

豊かな生活には、アートを!
アート・ギャラリー・コインブラ18
ディレクターメリダ・パスティーリョ
18エスカダス・デ・サウンチャゴ、コインブラ市

「なぜコインブラ18さんが、この絵をこちらへ持ち込んだのですか?」
と宗像が尋ねた。

「コインブラ18画廊さんは急にお金が必要になってとおっしゃいまして。ええ、これは別におかしい話ではございません。私たちのような不定期商いの零細企業では、資金繰りに困ることはしょっちゅうですからね。

ですから、このようなケースの場合、もちろん値踏みはちゃんとするのですが、仲間相場というものがありましてね、私どもがその絵をいったんお預かりする形を取るのですよ。

画廊といいますものは、絵を画家から買い取ったときのクレジットを必ず残しますからね、それを見れば買い付け価格が正確に分かるのです。通常は、その価格そのもので一時絵を引き取るのです。

しかし一定期間後に、あちらさんがその絵を再度引き取りたいという場合には、その価格に経費を上乗せしてお支払いただき、絵はお返しする決まりなのです。

もしも、お預かりしている間に絵が売れたら、その利益の一部を先方にお支払いするのです。ええ、残りは私たちの利益です。まあ、内々で運用している方法なんですよ」