第二章 日本のジャンヌダルク
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次の朝はゆっくりと食事をとって荷物をまとめ、チェックアウトして高槻教授の家に向かった。ホテルを出るとき連絡しておいたので、夫人は二人の到着を待っていた。
「きのうは相当な強行軍だったようですね」
夫人はにこにことほほえみながらいった。
「はい。もうくたくたになっちゃいました」
と答えたのはまゆみだ。
「坂上さんには大変お世話になりました。ずいぶんいろいろなことを教えていただきました。奥さまからもお礼をいっておいていただけませんか」沙也香がいうと、
「昨日の夜、坂上さんから電話がかかってきました。大鳥さんは理解力が優れていて、その上、すごく熱心だって」夫人はさらに笑顔になった。「坂上さん、喜んでいましたよ。久しぶりにええ仕事をさしてもらいましたって」
「いい仕事、ですか。わたしを案内したことが、ですか?」
「そうですよ。ここの名所旧跡を案内して教えてあげることほどやりがいのある仕事はないと、よくいっておられます。なにしろ古代の遺跡は奈良県の財産ですから」