第3章 障害者の就労支援と発達障害
精神障害者の就労支援
しかし、障害者雇用に至るには、基本的に障害手帳が必要ですから、初診から少なくとも6ヵ月はかかります。そして就労支援事業所を利用する場合は、障害者総合支援法の福祉サービス利用ですからサービス受給者証が必要です。
事業所の見学→本人と事業所の合意→受給者証の申請・交付→利用開始となります。手帳取得後、サービス利用、就労の準備にはそれなりの時間がかかります。
もちろん就労支援事業所の利用は任意ですが、現在一般企業では就労支援事業所を利用している人を採用したい意向が強いです。採用後の定着支援などのサポートもあり、就労支援事業所の利用を条件にあげている企業もあります。
また、抑うつ障害や大人になってわかる発達障害の増加などにより、就労経験のある人たちの就労支援も課題になりました。障害者職業センターでのリワーク(復職)プログラムもありますが、医療機関のデイケアでのリワークプログラムも増えていきました。
そのほか障害者の職業訓練もあります。障害者職業訓練校もありますし、ハローワークを通じて申し込む委託訓練もあります。
そして就職後の支援として、ジョブコーチや就労定着支援などがあります。
就職後の実際的、環境的支援にもなりますが、差別の禁止と合理的配慮があります。それらは障害者差別解消法から障害者雇用促進法の一部改正に明記されました。
合理的配慮は、障害者就労の実際に、一歩踏み出すことになりましたが、状況依存的で難しい側面があります。障害の事実はあってもプラスの側面「〜ができる」ことと、環境及び業務内容の調整という形で着地点を見出すことになります。
身体障害は環境的な改善や身体作業の制限など、また知的障害は作業内容の配慮や教え方、表記や連絡の仕方など考えることができます。
しかし精神障害は、作業内容の検討、配慮は必要ですが、それぞれの精神疾患の特性と障害者個々の特徴、症状の波やストレス対処の方法などを個別に知ることも重要になります。障害者就労として日の浅いこともありますが、いまだ課題の多いところです。