第2章 補助金の論理
2 補助金の必要性、正当性
国によってつくられた地方
前掲書『新版 基本から学ぶ地方財政』には、このような記述がある。
《一般には、地方自治を担うという意味で、地方自治体といういい方がありますが、法律的には地方公共団体と呼ばれます。地方公共団体は、法律的には国が設置したという位置づけです。》
つまり、日本の地方公共団体は国によってつくられたのだ。日本国憲法には地方自治の規定があり、それに基づいて地方自治法が制定されているが、アメリカは逆である。自分たちで市や町をつくり、それが州、国家の構成要素になった。
アメリカ合衆国憲法には地方自治の規定はなく、日本の地方自治法のような一律に地方自治を統制する法律は存在しない。各州が州の法律に従って地方自治を進めている。
州の下に郡(カウンティ)があるが、郡は地方自治体ではなく、州の出先機関である。郡の傘下に、ミューニシパリティ(日本の市町村に該当する)、タウンシップ(18世紀から19世紀にかけてアメリカ西部で施行された土地区画制度。北海道の屯田兵村に近い)、学校区、特別区がある。ミューニシパリティ以下が地方自治体であり、自発的につくられたものだ。