第2章 補助金の論理
2 補助金の必要性、正当性
補助金の弊害
次に、よく言われる補助金の廃止、整理などの問題について考えてみたい。シャウプ勧告が一つの契機になったと思われるのだが、戦後、補助金は可能な限り整理されるべきだという論調が主流になっている。
それはなぜか。補助金制度に伴うさまざまな弊害が指摘されるからだ。
前掲『補助金制度論』の「補助金制度管見」で萩田保は11の弊害を指摘しているので紹介しておこう(ただし、萩田の記述そのままではなく私が要約したものであることをお断りしておく)。
(1)使途が制限されるので地方公共団体の自治権は損なわれる。
(2)したがって国の地方団体に対する干渉をおこす。
(3)基準や使途を国で決めているから必ずしも地方の実情にあうとは限らないし、経費の効率的使用ができない。
(4)補助金をもらうための事務分量が大きくなる。
(5)補助金につきものである陳情運動の経費がばかにならない。
(6)補助金の不正使用
(7)経費膨張の最大の要因
(8)財政の制約からすべての要求を満たすことができず、ばらまき主義、総花主義となり、必要経費にみたず効果が上がらない。
(9)自己負担を忘れて補助金の獲得運動に走ることになり地方財政が乱れる。
(10)補助金の単価、対象が国の基準で定められているので地方の実情にあわない場合がある。
(11)交付税とちがって一律に交付されるので、財政力のあるところにも交付され、財政上のロスがでる。