数概念の素地づくり
算数を学ぶねらいの一つは、「自然を美しいと感じる感受性」を育てることだと言う方がいます。
じつは自然のなかには直線はないといいます。自然にあるのは曲線ということです。しかし、そんななかでも自然を美しいと感じる心をもつのは、世の中に存在しない直線や曲線の概念で遊んだからかもしれません。
自然の現象は美しいまでに秩序性をもって、数でとらえることができ、その数さえも自然のなかに溶け込んでいくような合理的な摂理、自然との一体感を感じるからではないかと思ったりします。
さて、数の学習は日常生活の周りにおこる事象を合理的にとらえていくためのものであるともいわれます。思考は合理性が増すにしたがい、抽象的な概念にまとめられてきます。
数字は「1(いち)、2(に)、3(さん)、4(し)、5(ご)、6(ろく)、7(しち)、8(はち)、9(く)、10(じゅう)」と物事を個別化し、一定の秩序をもって考えていくための手段として、具体的な事象を抽象的な概念にまとめたものと考えることができます。
たとえば、数の概念を身につけることによって、家族の人数とケーキがきちんと一人ずつにいきわたって食べることができるとか、A道よりB道を通った方が駅に近いとか、AよりBの方が大きくて自分には得になるなどと物事を合理的に考えるようになることだと思います。
それが、算数を学ぶ喜びの一つかもしれません。