第4章 人の資産を“見える化”する
新入社員は負債としてスタート
5 流動資産、固定資産、流動負債、固定負債として表現されること(第7回参照)
ここで人の決算書に求められる5番目の条件について考えてみましょう。
入社したての新入社員の目に映る先輩社員は日々忙しく最新の情勢や知識を学ぶ時間がないため、意欲的で若い自分のほうが深くものを考え、時代をよく知っていると早合点することが往々にしてあります。
「こんなこともできない」「あんなことも会社はできていない」「先輩社員はいったい、どうなっているんだろう」とあたかも自分が一番もの知りだと錯覚することがあります。
自分の意欲と知識を発揮する機会を得られず、悶々とする若い社員もいることでしょう。「会社はわかっていない」と思っているかもしれません。理詰めでものを考える人には、会社の人たちがやっていることはとても稚拙に見えます。
しかし、時間経過とともにそれは早合点であることがわかってきます。世の中には簡単に思えても、うまくやれないことが多いのです。また、新人の頃は難易度の高い業務を達成するには、周囲の人々が理解するのに苦労するような複雑なことがカギを握っていると考えがちです。
優秀な新人であればあるほど、ものごとを難しく組み立て、それを実践しようとする傾向があります。簡単なことには興味を持てないという心理も働きます。