第3章 いかにして人を資産化するか
4 人のポジティブな面、ネガティブな面の両面を表現できること(第7回参照)
人の決算書に求められる4番目の条件について考えてみたいと思います。心と体に不調をきたしますと、残念ながら人はネガティブな資産となってしまいます。決算書でいえば負債勘定となります。
どれほど有能であっても休職するような事態になれば資産としてではなく、負債として企業の未来力を削いでしまいます。それが1年を超えるような長期の休職であれば、その人の人件費相当額が長期負債となってしまいます。仮に短期であっても、その期間相当分の人件費が流動負債となります。
厚生労働省は2011年、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病に精神疾患を加え5大疾病とすることを決定しました。
5大疾病の中でも精神疾患は最も多く、その患者数は323万人に上るといわれています。精神疾患に悩まされる社員を抱えているという企業もめずらしくなくなりました。2014年5月現在の就業者数6397万人のうち5%が何らかの問題を抱えているともいわれています。みなさんもお心当たりがあるのではないでしょうか。
そうした問題に対処するためにはまず、企業は人を経費としてではなく資産であることをしっかりと認識しなければいけません。資産である以上、さらに磨きをかけることが必要です。そのために対話の頻度を上げるだけでも患者を減らすことができるのではないでしょうか。