《大きな商家の角》

他の走者を離し、圧倒的な一位で走り、角を曲がる安兵衛。

前を見ると、いつの間にか次郎吉がいる。

次郎吉、後ろを振り返り、

次郎吉「走れ、安兵衛」

安兵衛「くそ!」

と必死で追い掛ける。

《到着点》

世津「安兵衛さん!」

太郎坊「おじちゃん!」

と、声を嗄(か)らして応援している。

安兵衛が、次郎吉に胸一つ敗れる。

《近くの道端》

仰向けに倒れ、荒い息の安兵衛。

安兵衛の傍らに、寄り添って、着物の袂で安兵衛の汗を拭く世津。

安兵衛、上半身を起こし、

安兵衛「はあ~!」

と、大きく、息を吐いて、照れくさそうに笑う。

太郎坊「おじちゃん、水」

と、柄杓(ひしゃく)の水を差し出す。

安兵衛「申し訳ありません。せっかく応援して貰ったのに」

世津「とんでもない。二番ですもの。安兵衛さんの足の速いのは十分見せて貰いましたわ」

少し、気を取り直して、太郎坊の頭を撫でながら、太郎坊に、

安兵衛「坊、悪かったな。独楽はもう少し待ってくれな」

太郎坊「うん」

試し読み連載は、今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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