事業承継と教育改革 ~異業種の視点が変える自動車整備の常識~
ここで、自動車業界に変革をもたらす二人の若きリーダーをご紹介します。一人は、倒産の危機にあった老舗企業を事業承継によって再生させた3代目の経営者。そしてもう一人は、70年以上の歴史を持つ自動車大学校の改革に挑む、異色の経歴を持つ若い学校長です。奇しくも同じ茨城県を舞台に奮闘する彼らの取り組みをご紹介します。
茨城県ひたちなか市に拠点を置く小野瀬自動車株式会社は、創業70年を迎える老舗企業です。新車・中古車販売から整備、保険まで、車に関するあらゆるサービスをワンストップで提供し、地域に根差した「車の町医者」として親しまれています。
現代の自動車整備業界は、整備士の高齢化と後継者不足により廃業が相次ぐ深刻な状況にあります。小野瀬自動車も例外ではなく、小野瀬社長が事業を継承した際には、かつて100名以上いた従業員がわずか6名、売上も1億円にまで縮小していました。
大学卒業後、証券会社やリクルートといった異業種を経験した小野瀬氏は、「家業の代わりはいない」との思いから2016年に代表取締役に就任します。
まず着手したのは、外部の視点から事業を客観的に見つめ直すことでした。整備知識がない自身の強みを活かし、会社に最も不足しているのは「営業力」だと見抜きます。そして、その答えは現場にあると考え、社員との対話を重ねました。現場の意見を取り入れ、既存顧客リストを最大限に活用する営業戦略を次々と実行していきました。
小野瀬社長が最も重要視しているのは、「社員の持つ力を最大限に引き出す」という人づくりです。特に自己肯定感が低い社員が多かったことから、面談を通じて「自分はすごい」「人から頼られている」という感覚を育むことに注力しました。彼が考える人材育成の柱は「技術、自信、そしてオーナーシップ」です。
試し読み連載は、今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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