「マリア・アンナさん。あなたに危険が迫っています。エッグは危険です」

「まあ、ヴォルフガングのせいね! おしゃべりな子! 私、ちっとも怖くないわ。舞台の上の方が一番怖いくらいよ。私はプリマ・ドンナよ。プライドを持って生きてきたわ。これまでもこれからも――」

心配そうなエリカを見て、プリマ・ドンナは、

「私は高音でグラスを壊すことができるわ。悪人が来たらこの高音でやっつけてやるわ」

エリカ、説得をあきらめ、ヴォルフガングのもとへ戻る。

「どうだった? 僕も忠告したんだけどね。ま、プリマ・ドンナとはああいう人種だよ」

「でも見過ごせないわ。プリマ・ドンナを助けないと」

そこに美しい青年が近づいて来た。

「マドモアゼル」

「あなたはあの時の――」

ハナに花を贈り、手に口づけした青年だ。

「エドアルドと申します」

「私はエリカ。サロンに来てくれてありがとう」

エドアルド、ハナを見て、

「おや、日本人女性ですね。マドモアゼル、この前私は、絶世の美女を見ました」

 ハナ、とまどいながらも、

「その絶世の美女とは私のことです」

「マドモアゼル!」

次回更新は11月6日(金)、20時の予定です。

 

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