ある日、朝まだ暗いうちから、家のなかに父の姿が見あたりません。以前にはこんなことはなかったので、私はかなり焦りました。2、3時間が経ち、朝市の帰りの方が見かけたと、電話をかけてくださいました。
父が見つかった場所は、家からずいぶん遠かったので、よくこんなところまで歩いてきたと感心するとともに、私も父を迎えにいって連れて帰ってくるだけの体力が不安で、タクシーを頼んで連れ帰りました。
朝から2人とも飲まず食わずでしたから、その日は話す元気もありませんでした。私は意を決して、次の日に父と話そうとしました。
父は昔の人のなかでも相当な頑固親父で、自分が迷って外出して、帰ってこられなくなったことを認めません。少し追い詰めると、「今から線路に行って電車に飛び込んで死んでくる」というのです。
じつはこのフレーズは、夫婦げんかをしたときに父が昔から口にした言葉です。
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父への殺意を打ち明けた私に、母は「逆にお前がやられてしまうよ」――幼い頃から抱いていた気持ちだったが…
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