第一章 父と私、そして別れ

父との別れ

私の父は、2016年6月に急逝しました。

脳梗塞でした。

倒れてから、わずか4日で亡くなりました。

倒れるちょうど1週間前、私は介護老人保健施設で父に面会していました。

お茶や水を飲まずに捨てていると、職員からの申し送りがありました。部屋を訪れて、「パパ、出されたお茶はパパの体に必要なものなんだから、捨てないで飲みなさいよ」と、私は父に注意しました。

父の死後、知り合ったリハビリ施設の方に、「お父さんは飲みたくても、そのときはもう嚥下ができない状態だったのかもしれない」と、教えられました。

そう聞いたとき、生まれて初めて、私は父から人生において最大で最重要なことを教わったように思いました。死に方のお手本を父が身をもって教えてくれたように感じたのです。

倒れて4日あまりで逝ってしまう、それは私を苦しめまいとしたようでした。私も願わくば、自分の最期を父のように迎えたい、父のように死にたいと、このとき強く心に刻みました。

 

▶この話の続きを読む
顔面蒼白の父が、右手のものすごい力で私の手を握り締めた。そのとき父は、脳梗塞で既に左半身麻痺になっていて…

👉『不完全な親子』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】ふざけて彼女の体に触れると、聞いたことのない甘えた声が返ってきた。気まぐれな一夜だと思っていたのに——

 

ゴールドライフオンライン(GLO)は、表現者を応援するウェブメディアです。
生身の人間が紡ぐリアルな言葉だからこそ、読者の心を揺さぶる力があると確信しています。
あなたも、"表現者"になってみませんか?
ゴールドライフオンライン(GLO)編集部:glo_henshu@gentosha.co.jp