しかし──。しかし、である。またか、と思う気持ちがないわけではない。

それに、自分たちはともかく、これから大学生活のラストイヤーを迎えようとしていた先輩たちのショックは、計り知れないものがあった。

学生生活の多くを部活動に費やしてきた新四年生にしたら、先輩たちが宣言を出したいくらいの「緊急事態」だろう。私と同じ文学部の子たちは帰省した子も多かった。

みんな、どうしているだろうと気になって、名古屋出身の仲よしの彩音ちゃんのSNSを覗いてみる。車内での感染を恐れ、新幹線に乗ることを避けるため、お父さんが車で迎えにきてくれたようだ。

〈#帰省〉もなんだか遠慮がちに見えてくる。どこかのサービスエリアでお父さんと富士山をバックに撮った写真は、顔のほとんどがマスクで覆われているので、目元がそっくりなのが余計際立ち、誰が見ても父娘で間違いなかった。

「それにしても、仲がいいなあ」とほほえましくなる。二人とも優しい目元だった。

恐れているのは本人ではなく家族の方なのかもしれない。彩音ちゃんとは逆で、真名ちゃんは、「しばらくは帰省せず、なんとか寮でおとなしくしていてくれ」と親に説得されてしまったと報告してくれた。

苦笑いのスタンプが、真名ちゃんが課題の発表の際に、時折教室で見せる苦笑いと重なり、なんだか気の毒に感じた。

活動休止の連絡の後、「自分もここに残っていても仕方がないかな」と、帰省を考え始めた。

同じ一年生部員も、バイト先が休業になったりシフトにほとんど入れなかったり、バイトはしていない私のような子もいて、ちらほら帰省を考え始めているようだった。

次回更新は10月27日(火)、14時の予定です。

 

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