【前回の記事を読む】被害者は血糊の入ったカプセルを噛み、吐血を偽装した疑い…しかし鑑識の結果、吐いた液体は本物の人間の血液だった。

ダウト2――シェイクスピアを疑え

「私は事務所から呼び出されて11月から彼のマネジャーを外されることになった。解雇はされなかったけど、烈斗は一生会いたくないと言っていると聞かされた。

私は目の前が真っ暗になった。だって烈斗は私の生き甲斐だったんだから。そんな時、烈斗から最後の依頼が来た。

血糊カプセルを取り寄せてほしいというものだった。私がそんな物何に使うのか問い質したら、カーテンコールの時のサプライズのことを聞かされた。

それでこの計画を思いついたのよ。この舞台を私と烈斗の最後の舞台にしようと思った。

この女の目の前で烈斗を殺して彼の魂を奪い去り、永遠に私の物にするために。後はその刑事さんが言った通りよ」

「勝手よ……」

理亜が呻いた。

「そんなことで人を殺していいわけないでしょ!」

再び理亜が林に掴みかかり、揉み合いになった。

「やめろ!」

伊藤が二人を止めようと近づいた。

「伊藤君、林佳奈の腹を殴れ!」

天蓋が大声で指示した。

「は?」

「いいから殴れ!」

伊藤は訳の分からぬままやむを得ず林の腹部にパンチを入れた。

「おえっ!」

林が腰を折って胃液を嘔吐した。

床にぶちまけられた胃液の中にカプセルがあるのに伊藤が気づいた。

「これはまさか……」

「青酸カリ入りのカプセルだろう。死んで逃げようったってそうはいかない。

そもそも君は死んでも烈斗君には絶対に会えない。彼は天国、君は地獄行きだからな。

皆さん、カプセルの周囲から離れてください。カプセルが溶けるとシアン化水素が発生し、吸い込んだら死亡する危険性がありますから」

一同はどよめいて避難を開始した。

林は伊藤に手錠を掛けられ、連行されていった。