シーレの生きたウィーンは、絶頂から大戦を経て没落した期間だ。

シーレの描いた人物が私を見ている。それは、シーレが捉えていた視線だ。その瞳を鏡にして、シーレは自分を見つめている。

モデルの瞳の真ん中には、きっとシーレの真摯な魂が映っている。

時代を経て、その思いがダイレクトに突き刺さってくる。

なんて尊さだ。30年ぶりの再会は面接試験だ。年を重ね、環境に支配されない自分にはなれた。

“才能”と呼べるものをまだ持たないが、未熟さを愛しい気持ちで受け入れられている。図太さは、及第点をもらえるかもしれない。

日が暮れる。私たちを照らす夕日を、シーレも見ただろう。雲と落ち行く夕日の反射は美しいか、毒々しいか。

空の色は、見る者の心次第だ。必要なのは状況説明や主観感想ではない。これからを見据える目だ。状況を捉え、心を鼓舞し、前へ向かう意志表明だ。

……偉そうなことを言ってしまった。

お土産は“東京ばな奈”にしようか、それとも、もっと甘めに“うふプリン”にしようか。

まずは、迷子と乗り遅れに注意して、家路に着くとしよう。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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