【前回の記事を読む】主演俳優を襲った異常事態に、劇場はパニックに…すると客席の男が突然「私は警察だ」と名乗り、場を仕切りはじめた。しかも“殺人”と断言して…
ダウト2――シェイクスピアを疑え
「チケットは元々4枚購入していた。我々4人で教養を深めるために『ハムレット』を観劇しようと思ってね」
「じゃあ何でそのことを教えてくれなかったんですか」
「もちろん、君がコロネに何か良からぬことをしないか監視するためだ。場合によっては不同意わいせつ罪の現行犯で逮捕するつもりだった」
「はあ? 僕がコロネちゃんに劇場でそんなことするはずないでしょう。何言ってるんですか!」
高井良が激怒した。
「ちょっと、2人とも下の名前で私のこと呼ばないでください!」
コロネが憤慨して大声を上げた。
「何なんだ、こいつら」
伊藤が呆れた。
「まあまあまあまあ、まずは事件の経緯を教えていただきましょうか」
尾崎が皆をなだめるように言った。
「駄目だ。君達はまず『ハムレット』のあらすじを知る必要がある」
天蓋が言った。
「演劇のあらすじなんか事件には関係ない。早く目撃状況を教えろ」
伊藤が息巻いた。
「いや、大いに関係あるね。何故ならこの事件を解決するヒントをシェイクスピアが教えてくれているからだ」
天蓋の言葉に全員が唖然とした。
「何言ってるんだ、あんた。何百年も昔のイギリス人が今ここで起きた事件を解決してくれるとでもいうつもりか」
伊藤が食ってかかった。
「解決してくれるとは言っていない。ヒントを与えてくれると言っているのだ」
天蓋は一歩も引かずに言った。
「まあまあまあまあ、伊藤君、ここは僕達も勉強のために『ハムレット』のあらすじを知っておこうじゃないか」
尾崎が諫めたので伊藤は渋々引き下がった。
「それでは高井良君、『ハムレット』のあらすじを説明してくれたまえ」