【前回の記事を読む】よく知らない男性から『ハムレット』の公演に誘われた…その日は用事があるので、とやんわり断ると「観ておくべき、最低限の教養」と言われた

ダウト2――シェイクスピアを疑え

舞台では従者が差し出した杯をハムレットが断り、2度目の勝負が始まり、ハムレットが再び1本取った。王妃ガートルードがハムレットに汗を拭くためのハンカチを手渡した。

「ハムレット、お前の幸運を願って私もこの杯を頂きましょう」

王妃がそう言うと、クローディアス王が慌てた。

「ガートルード、飲んではいけない」

「いいえ、飲みたいのです。お許しください」

そう言って王妃は酒を飲み、ハムレットに差し出すが、彼は再び拒否した。高井良が再びコロネに耳打ちした。

「王妃は王の策略を知らずに毒杯を呷ってしまったんだ」

3度目の勝負が始まり、今度はレアティーズがハムレットに掠り傷を負わせた。

怒ったハムレットは乱闘中レアティーズの毒剣を奪い取り、それでレアティーズを突き刺した。その間に王妃が倒れた。

「ハムレット! あのお酒には毒が……」

そう言うと王妃は絶命した。

「誰がこんな卑怯なことを!」

ハムレットが叫ぶと、瀕死のレアティーズが答えた。

「犯人は私だ。お前を刺した剣の切っ先には毒が塗ってあったんだ。もうお前に生き延びる術はない。王妃は毒杯を呷った。全ての元凶は王だ……」

「この切っ先に毒が……ならばこれが最後の仕事だ!」

そう言い放つとハムレットは王を剣で突き刺した。

「ううっ、皆の者何をしている、私を守れ!」

「この悪魔め! ここにお前の真珠が入っているんだな。じゃあお前が飲み干せ!」

ハムレットは杯を取ると王の口に無理矢理あてがい毒を飲ませ、王は息絶えた。

「自業自得だな。ハムレット、せめて我々はお互いの罪を赦し合おうではないか……」

そう言うとレアティーズも絶命した。

ハムレットもその場に崩れ落ちた。友人のホレイショーが駆け寄る。

「天よ、赦したまえ。ホレイショー、僕はもうすぐ死ぬ。せめて君は生きて僕のことを正しく伝えてくれ」

「あなたが死ぬのに私が生きることなどありえない。まだ酒が残っている」

そう言うと、ホレイショーは杯を手に取った。ハムレットは俄かに起き上がった。

「やめろ、杯をよこせ。これは俺が飲む!」