この日は俺のマンションに泊まる約束をしていた。友達と一緒とは聞いていたが、瑠美の帰りが遅く、俺は駅まで迎えに行った。男女六人くらいのグループで、わいわい騒ぎながら、改札を出てきた。

「瑠美」

俺は迷わず瑠美に声をかけた。

「貢、どうしたの」

「帰りがあまりにも遅いから迎えにきたんだ」

「今日は友達と一緒だから遅くなるって言ったよね」

周りの連中から酒の匂いがプンプンしてきた。

「瑠美、酒を飲んでいるのか、未成年だろ、帰るぞ」

俺は瑠美の手を掴んで、その場から連れて行こうとした。

「瑠美、もう一軒行こうぜ」

一緒にいた男が瑠美を誘った。俺は男と一緒だったこと、未成年なのに酒を飲んでいたこと、いつもの素直さが消えてまるで反抗期のように、俺にはむかう態度が気に入らなかった。

「貢、離して、私はジンジャーエールしか飲んでいない、でももう子供じゃないんだから放っておいて」

「酒は飲んでいなくとも、未成年がうろうろする時間じゃないだろ、帰るぞ」

俺は瑠美の手を引っ張った。瑠美は反抗して「親みたいなこと言わないで、それが嫌で一人暮らし始めたのに、貢と一緒だと親といるみたいで嫌なの、だから結婚したくないの」

俺は瑠美を掴んでいた手を離した。俺の中で何かが弾けた。そのまま、瑠美に背を向けた。瑠美は男友達と一緒に別の方向へと姿を消した。それから、瑠美に連絡をしなかった。いや、何も考えられなかったといった方が正しい。

 

「大人の恋愛ピックアップ記事」の次回更新は9月6日(日)、19時の予定です。

▶この話の続きを読む
女性と寄り添って寝たことがない――彼女が寝がえりをして俺の胸元に顔を埋めたとき、心臓がバクバクと音を立てて…

▶『落花流水のように 巡り合い、惹かれ合う男女が織りなす愛のゆくえ』連載を最初から読む
初対面の男性に助けられたが…「服も下着も濡れていたから、全部脱がせて、スエットに着替えさせた」「えっ、まさか」

GLO独占連載『わたる』
9月4日(金)22時より毎日配信!

母を亡くし、父を失い、継母に虐げられた渉。
18歳で逃げ出した彼が選んだのは、女性用風俗店のセラピストだった――。

『わたる』第1回を読む ▼

父の携帯に届いた「昨日も最高に幸せだった」。送り主は、母の親友だった――。