【前回記事を読む】ドイツで人気のベランダ発電、なぜ日本のマンションでは難しい? 低コスト・省スペースなのに、日本では…

第1章 日本と欧州の再エネ事情を比較検討

1-2 ドイツの再エネの柱・風力発電
〜日本では適地不足〜

(2) ドイツの再エネの弱点と克服の方法

こうしたドイツの再エネでも、ドイツの南北の送電網が弱いという弱点があるが、環境に配慮した解決策が進行中だ。欧州各国に国際送電網が張り巡らされている一方で、南北の送電網設備は未だ完成されていない。

住民の強い反対運動があるからだ。送電線が景観を悪化させること、特にドイツ人が愛する森林を無粋な送電線が貫くことによって景観が悪くなれば地価下落につながる、懸念があるという1

だが、ドイツの南北送電網の拡大の必要性は高い。北部地区では、一定方向に風が強く吹き、風車の適性地だ。しかし、電気の大消費地である工業地帯は南にある。よって、北部では電気が過剰に供給される場合がある。

その場合、停電になる恐れがあるので、対策が必要だ。しかし、日本のように出力制御して、電気を捨てるようなことはしない。その余剰電気を使ってグリーン水素を作りだし、Wind Gasとして販売している。

だが、電気分解して水素に変えるには、60%のロスで効率が悪い。しかし、整備されている天然ガスの配管にWind Gasを混入させて熱供給に漕ぎつけている。そのための法律もきちんと整備されている。もっともこの段落の情報は著者が15 年にドイツに再エネ視察にいった時のものである。

この南北問題についての送電網強化策は、反対運動に応えて架空送電式から地中送電式に変更して、ようやく16年に着工された。例えば、南リンク(SuedLink)は地下ケーブルとして建設され、2026年までに完成する予定だ。その総投資額は100億ユーロで、「ドイツのエネルギー転換における最大のインフラプロジェクトである」と、送電網の運営者は述べている2

また、アンプリオン接続(Amprion connects)3では、新しい電力接続を建設している。エネルギー転換の動脈のひとつとして、北海の洋上風力発電所で生産された電力を輸送することを目的としている。また、別なA-Nord(全長11,000kmの超高圧送電網)では2GW容量が伝送でき、合計すると、これは約200万人分の電気供給に相当している。

23年11月にパイプラインの建設を開始し、27 年に試運転を開始する予定だ4。環境に配慮しながら、大胆に送電網強化がいかに進んでいるか示す例である。

一方、こうした再エネ優等生にも自国の石炭に大きく依存しているという欠点がある。24年度の電力割合で化石石炭の割合が23%(化石無煙炭5.88%、化石褐炭17.2%)と日本の石炭火力の割合28.2%(24年環境政策研究所速報値)より少なくなっている。但し、23年度はドイツの石炭割合は26%(化石無煙炭7.8%、化石褐炭18.23%)と大差がなく、原発は1.6% だった。