【前回記事を読む】「再エネ開発に参入さえすればボロ儲けできる」歪んだ制度が生まれた背景――“日本独自”運用方式の落とし穴
第1章 日本と欧州の再エネ事情を比較検討
1-1 地球温暖化解決の鍵となる再エネ
〜偏った日本の再エネ事情〜
(2) 固定価格買取制度の歪みが生んだ再エネ乱開発と小水力発電
この制度上の欠陥の例として、最近の例を挙げることにしよう。
長崎県の宇久島で計画されている日本最大のメガソーラー1だ。24年5月に着工し、出力は48万kWで、総工費は2,000億円。280haパネル数は152万枚を敷き詰める計画だ。
問題なのは、FIT買取価格が12年度の40円のままということだ。
なぜなら、17年に改正された再エネ特措法では、買取価格の決定は電力会社との接続契約の終わった後になったが、それ以前に事業認定を取った物件は例外とされたからだ。
だから、「メガソーラーの買取価格は2023年の10円以下になるはずだが、40円で20年間も買い取られる。価格はkWhあたり30円も違うので、年間5億kWh発電する宇久島メガソーラーでは、20年間で3,000億円も高い買取価格になる。これはすべて国民負担だ」2。
もっともこのFIT制度の不合理について、経済産業省は改正をし、22年4月に施行している。
例えば、長期未稼働の件について、電源ごとに認定失効制度を設けた。
最小は10kW未満の太陽光発電設備1年。
同10kW以上は3年(認定時に環境影響評価を受けた場合5年)。
水力発電は7年(条件によって延長も可)と最長だ。
第二に、規模別のFIT価格を設定しなかったことも大きい。一定の利潤に抑えるため、大規模は低く、逆に小規模は高めにするというのが世界のFITの潮流だ。
「エストニアなどいくつかの欧州諸国でも均一の買取価格でFITを導入していますが、あまり成功を収めていません」3。
一方、日本では、第1回調達価格等算定委員会(12年3月)に枝野幸男経済産業大臣(当時)は
「買取価格や期間を一律ではなく、発電設備の区分、形態規模や事業者の適正な利潤などを勘案して決める」4と発言していたが、
担当官僚の発言「電事連が言われていましたが、電力会社のほうは余り細かく分けられると、多分、彼らはもうシステム設計が間に合わないんですね5」などで反対意見は通らずに、統一価格40円に押し切られてしまった。