【前回記事を読む】「ドイツやデンマークの真似では日本は再エネで勝てない」――北欧の政治家が語った“盲点”
第1章 日本と欧州の再エネ事情を比較検討
1-1 地球温暖化解決の鍵となる再エネ
〜偏った日本の再エネ事情〜
(1) 太陽光発電主体でカーボンニュートラル社会は実現できるのか?
多くの日本人が思い描く再エネといえば、太陽光発電、太陽電池あるいは太陽光パネルであろう。その理由は、国内で一番見かけるのは太陽光発電だからだ。
環境エネルギー政策所の調べによれば、24年(暦年)太陽光発電の年間発電電力量の割合は11.4%となり、前年の11.2%から0.2ポイント増加し、日本の再エネ電気の43%を占める。
しかし、このように太陽光発電に偏るだけでは、カーボンニュートラルを目指すには十分ではない、と本稿では示そうとしている。
その背景として、15年の気候変動枠組条約締結国会議COP21で採択されたパリ協定を受けて、米国、EU、日本など先進国は、50年まで、温室効果ガス排出量を正味ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言し、30年までの削減目標を相次いで引上げた。
そこで、太陽光発電の課題が見えてくる。
第一に、太陽光発電の設備利用率1が風力24.5%(22 年度)や小水力発電(1,000~3,000kW)64.1%と比べて極めて低いことだ。
設備利用率とは、発電設備の稼働率を表す値のことを指す。
太陽光発電は、22年度家庭用で全国平均では14.5%2、事業用(10kW以上)の14.8%と低い。
太陽光電池(太陽の光エネルギーを、直接電力にするための「発電機」の役割)も多様性と進化が進み、太陽光電池は重要な再エネ電源だ。
例えば、スイスの最大級の太陽光発電所・バーゼル市内エルマント東地区の建設共同組合式のものは、すべての屋根に合計850kWの発電所を作り、10棟400世帯に100%再エネの電・熱を供給している。
更に、地下水ヒートポンプで地域熱供給をし、温水タンクに余剰電力を貯めている。
その上、電気自動車充電ステーションも設置した。自家消費率98%、自給自足率30~40%である。このような公的な系統を使わない、自家消費型コミュニティがスイス国内に400ヶ所以上あるという(21年度)3
更に、今では、太陽電池の下で農業を行う(ソーラーシェアリング4)も盛んになりつつある。これは日本発祥の技術で、斜陽にある農業に活力を与え、耕作放棄地なども活用している。
営農型発電所でも、24年8月に千葉県匝瑳(そうさ)市にてペロブスカイト太陽電池の共同実証実験を開始した5。
ペロブスカイト太陽電池は、従来のシリコン系太陽電池に比べ、低コストで軽く折り曲げやすく、注目されている。
