「にゃんこちゃんって呼んでもいいか?」

「私のこと?」

「あんたやねんけど、あんたの、そこのことを」

「なぜ?」

「あったかくて、毛がふわふわで、猫みたいやから」

3 熊の手を借りる

 

特に前置きもなしに、彼は話を切り出した。

「部屋を借りたから」

「引っ越ししたの?」

「いや、うちとは別に借りた」

「何のために?」

「あんたのためやで」

「私の?」

「言ってたやろ、俺の部屋がいいって」

確かにそうは言った。言ったけれど、だからといって別の部屋を借りるなんて、そんな。

一体どれくらいの費用がかかるのか。気が遠くなりそうだった。

「あなたの部屋では無理なの?」

「まぁ事情があるんや」

「でも、そんな借りた部屋に連れていって、鍵をかけてしまって、例えばあなたの友達を呼んだりされたら、私は手も足も出せないわけでしょう?」

「そんなに俺のことが信じられんのか?」

「まだ分からないよ、それは」

「もし何かあったら警察を呼ぶしかないんやろうけど、俺にはそんなつもりはないんや」

「そう言われても、信じられない。いきなり相談もなしに、勝手に決められたみたいで」

なにしろ突然すぎる。一緒に物件を下見に行ったわけでもないし。

「相談したつもりだったんや」

「そうだったのかも。気づかなかった。その点に関しては、ごめんね」

 

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