家に帰ったらきっと、
「手があがらなかったわね。みんなあんなに手をあげてたのに」
なんて言われるんだ。
けれどお母さんたちは、自分の子のことを「頭が悪い」とは思ってなくて、やればできるって信じている。
「調子が悪かっただけよね。ドキドキしちゃったんでしょ」
変になぐさめてくれるから、余計(よけい)に気まずい感じになるんだ。マズは頭が良くて、何回も手をあげていた。
けれど、いつもの調子で、
「ええ……まず、最初に……」
「まず、一の位の8を繰(く)り上げて……」
とか言うものだから、後ろのお母さんたちからクスクスと笑い声がもれてきた。
マズの美人のお母さんはモゾモゾと赤くなっていた。マズのお母さんがモゾ? ふふっ……。
それで二人とも、家に帰るのが何となく気(け)だるい気持ちになって、みっちゃんのゆっくりにつき合っていた。
ゆっくり歩くと、いつもの同じ道なのにいろんな発見をする。
電信柱についた傷が宇宙人の顔に見えることや、よく吠(ほ)える犬の後ろ足がブルブルふるえていて、本当は犬も怖(こわ)がっていることや、毛虫がけっこう速いスピードで道路を横断すること。
そういうのを見つけるたびに、みっちゃんは立ち止まってチョメ男やマズと笑った。
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