債権者集会での票決は、185対5と圧倒的多数で再生申立に対する賛同を得た。

債権者集会は無事に終わった。どうにか第一関門を通過でき、松葉も仙田もそして竹之下もホッとした顔付きをしていた。

債権者集会の終了後、各社の票決一覧表を弁護士から見せてもらった。金融機関で反対票を投じたのは、地元2行のうちの一つ、ひまわり銀行だけだった。

地元の金融機関が反対に回ったことは、松葉に前途多難を思わせた。ひまわり銀行の支店長は、上層部には何の相談もなくバツを付けたのだろうか、反対に回すとうるさい男だ、と聞いていたが、行内でも独断専行型が罷り通っていたのだろうか。

取引のない会社にやって来て、金縁の額に入れた松葉の掲載された新聞記事を差し出したにこやかな顔を思い出した。その物腰の柔らかさ、如才のない態度からはそんな厳しい結論を突き付けるとは想像もできなかった。

形勢が変わったと見るや、その変わり身の早さは彼の身上とするところか、金融界の厳しさと見るべきか、松葉に新たな試練が待ち構えているように思えた。

しかし、不思議なことに鹿児島第一銀行だけが賛成票だった。鹿児島第一銀行が全面的に支援してくれるということだろうか。

松葉は、一筋の光明が差し込むのを見たような気がして気持ちが和らいだ。そして、いばらの道が花畑に繋がって行きそうで期待感に溢れそうになった。ありがたかった。松葉は救われたような気持になった。

他の金融機関は白票だった。その意味するところを松葉は理解できなかったが、反対されないだけでもありがたいと思った。一般債権者のうち5社だけが反対票を投じていた。

その中に4万8千円の債権額を持った会社が反対票を投じていた。宮崎にある地元のテントの会社だった。

50万円未満は全額弁済しますと説明をしたのにどうして反対なのか分からなかった。

相当な恨みでも買っていたのか……。この会社の買掛明細を持って来させて驚いた。

継続的な取引はなく、年に1、2回テントを借りていただけの取引だった。なぜ、反対票を投じたか、仙田に聞いてみた。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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