【前回の記事を読む】「前王朝を根絶やしにする」中国の易姓革命…その一方、倭国では倒した相手の王女に婿入りし、“特別な血筋”を取り込むことで……
第Ⅲ章 宗教政策史と人の心理
宗教政策の始まり
宗教政策として発明されたこのアーリア人の宗教は、元々「身分制度」が宗教の中にある。
上位から『神官階級』『戦士階級』『庶民階級』に身分が厳しく分けられ、中央アジアでゾロアスター教を開いたアーリア人はこれを保持し、インドに渡ったアーリア人たちはバラモン教(後のヒンズー教)を開き、この三階級の下に『階級外』シュードラが加えられてインドのカースト制度・四階級制が生まれた。
各、階級には対応する神がいて、
神官階級は、最高神である太陽神を崇め
戦士階級は、軍神のインドラ(帝釈天)を崇め
庶民階級は、河の神、火の神など庶民の神を崇めるという様に
庶民的な信仰の神々の上に軍神や最高神をいだき、天界の神々の序列がそのまま、人間界の身分制度になっているという支配階級にとって都合よく作られた宗教だ。
王は「現人神」※であると説き、人々の信仰心で王権を強化した。そして庶民階級は、最高神である太陽神を崇めることは許されなかった(※現人神=神に選ばれし者や神の子孫ではなく、神の化身であるということ)。
このアーリア人の発明した宗教による身分制度は、時代が変わり支配者や国が変わっても尚、千年二千年、三千年と残り続けた。もはや、国や王を超える存在である。
ゾロアスター教は、庶民階級が火を崇めたことから「拝火教」と呼ばれ火を崇める宗教の様に思われているが、護摩焚き、火祭りや火を灯し続けるなど日本の密教系にも影響を残している。と、いうより密教自体がゾロアスター教を仏教が取り入れたことで生まれた宗派だ。
創作神話と創作説話の時代
ゾロアスター教が多神教だった世界に、宗教的な階層をつくり上げたのに対し、ユダヤ人の中では一神教が誕生した。
もともとイスラエル人(ユダヤ人)は多神で、ソロモン王以来の王たちは神アシェア、神ケルビムなど、多神信仰が多かったが、やがて、アッシリアやバビロニアの侵攻で国は滅亡し、ユダ国のユダヤ人と呼ばれる人々はバビロニアに連行され捕囚となった。
全てを失った彼らは、神ヤハウェを崇める一神教となる事で民族の結束を強め、バビロニアの中でも決して同化することなくユダヤ民族の独自性を保ち続けていた。