【前回記事を読む】彼が水着のまま身体全身を洗い流していた。黒い髪に両手を無造作に入れて…水に濡れた肉体は匂い立つようにセクシーで…

第一章 LG

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プールのオープン時間は九時から二十一時で、彼は主に午後からか、夕方からのシフトで終わりまでいることが多かった。

港プールの休館前、最終日の夕方に行くとその日も運よく彼はいた。最後の日に会えて嬉しかった。

いつものように挨拶を交わしたあとは、遠目に彼を眺めながらも黙々とルーティーンをこなし、採暖室で軽く運動をした後に近くのシャワーで汗を流していた。すると、スタッフルームから出てきた彼が、何か話したそうに笑顔で近づいてきた。

「今日で最後ですね」

と私が言うと、

「はい、でも僕、休館の間、山手スポーツセンターに入ることになったんです。朝ですけど」

一瞬、混乱した私は、

「でも、ここは閉まりますよね」

「はい、ここはしばらく閉めます」

「そうですよね……今日は、最終日に会えてよかったです」

「はい」 

それだけの会話だった。けれども、耳栓を見つけてもらって以来、初めての会話だった。