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十一月に入り秋も深まり、駒沢通りの銀杏並木は黄金色に色づいていた。空は曇天(どんてん)が続き、街路樹の足元には力尽きて枝から落ちた枯葉が舞い、東京のグレーのビル群の中で街は肌寒さともの悲しさに包まれていた。

一方、通りのショーウインドウは紅葉を模した赤と橙色の鮮やかなデコレーションで、何とか秋と冬の狭間で中途半端なこの月を盛り立てようとするかのようだった。

港ヘルスクラブの休館は残念だった。あの最終日に身を乗り出して大きく手を振ったLGを思い出すと、特別な何かが生まれたようで切ない気持ちになり、このインターバルは恨めしかった。

せっかく親しくなりかけたのに、名前も互いに知らないプールの客とLGとの間では、この一か月の不在であっという間に以前の無感情な関係に戻ってしまうと思えた。

あの受付の吉沢さんが熱心に誘ってくれた彼女のいる時間帯に行ってみようか、そうだ、最後の日に話しかけてきた確か露子さんという人が、木曜日ならいるからと言っていたではないか、と様々に山手プールに行く理由を考えてみた。

そもそも一か月もプールを休んだら絶対に身体がなまってしまう。誘われたなら応えねばならない。

確かにこの二人から誘われたことは、私の背中を押していた。

山手に行くのは彼に会うためではなく、運動を継続するためなのだと考えれば気が楽になった。

吉沢さんも露子さんも山手へ行くのは夕方で、朝のシフトに入るという彼に会える公算は少ない。

たまたまシフト変更があれば彼にも会えるかもしれない、それくらいの気軽な気分なのだから、行ってもよいのではないか。

 

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