第3節 古代ロボ ギルガメス

クオンの身体は光の中を進む。いつか見たSF映画のワープシーンのようだ。

次々と現れる光は後方に消え去り、遠くに銀河が無数に見える。そのひとつの銀河から発せられた一筋のまばゆい光が星々を薙ぎ払っていく。

突然光の輪が現れ、その漆黒の中心へと身体が吸い込まれていく。光の輪はまるでそこに閉じ込められて身をよじらせているかのようにうごめいている。

クオンはその中にもまた同じような宇宙があるのを見た。そしてその中にも、その中にも……。

無限に重なり合う宇宙の層。小学生の遠足で訪れた名前も忘れたお寺で見た『マンダラ』という絵が頭をよぎった。

突然、クオンの身体が再び重力を取り戻した。

ドサッ!と草むらに放りだされたクオンは思わず叫んだ。

「痛っってぇ……なあ、もう!」

何が起こったんだ?とクオンは辺りを見渡した。

さっきまでタイマンしていたはずのエノキドもいない。でもこの木立の感じは、さっきまでいた赤山神社と雰囲気がそっくりだった。

突然どおっという耳をつんざく轟音と爆風がクオンを襲う。

真っ白な砂埃が視界を遮る。クオンは咳込みながら身を起こした。

砂埃が薄れると、目の前には自動車のようなものが現れた。

交通事故か?? こんな山の中で? 次々と浮かぶ疑問にクオンは混乱するばかりだった。

車が揺れた。というか身じろぎをするように左右に振れる。

上を見上げるとそこには驚くべきことに“顔”があった。黄色い角のついた赤い兜をかぶったような頭は巨大で、ひし形の眼は青く光り、口元はまるで痛がっているかのように歪んでいた。

よく見れば自動車だと思ったそれは、人型の腕部で、巨大がゆえにその形状を把握するのに時間がかかった。

角ばった四肢に赤や青に塗られたボディ。喧嘩で殴られて吹っ飛んだかのように、その巨体が地面に座り込んでいた。

(これは、現実なのか?)と疑うが手に付いた砂の感触、落ちた時の尻の痛み、草の匂いが現実であると知らせる。

「いやぁだっ! もう!」

突然女の子の声がした。

 

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