【前回記事を読む】大企業の事業創造に潜む「不都合な真実」──戦略コンサルをすんなり受け入れてしまうと、プロジェクト挫折に導かれることも…

2章 大企業×コンサル=最悪

戦略コンサルタントは事業創造の専門家ではない

現在は、インターネットやAIサービスなどのテクノロジーが発展し、さらには外部専門家に簡単にインタビューできる新たなスキームが生まれ、情報収集はどんどん容易になっています。

社会で起きていることは、大体が短い期間で調べがつくようになっているので、まったく新しい領域でなければ、業界規模やビジネスモデルといった基礎情報、参考情報は簡単に集められるでしょう。

ただ、クライアントがそこにいくと何が起きるか、どれくらいの売上が得られるか、どういったポジションを狙うべきなのか、それにはどれくらいの費用や時間が必要なのか、といった手ごたえのある情報は容易に出てきません。基礎情報や、参考情報で、説得力のある事業計画を作ることはできません。

調査会社のレポートでも同じです。客観的な業界概要を把握するためには良いのですが、どうすればその業界に入れるのか、その業界がどういうメカニズムでどう動いているかといった生々しい情報を知ることはできません。

専門家のインタビューはどうでしょうか。過去や未来の話であればいつも生々しい情報を教えてくれて、非常に勉強になるものの、未来について聞けば、専門家も一人の予想家に過ぎず、裏付ける実績を持っていないから情報の精度がとたんに下がります。

このように、新たな事業創造という領域においては、情報という原料に乏しいために戦略コンサルタントの持つ稀有なエンジンが動きません。エンジンがワークしない戦略コンサルタントは、翼をもがれた鳥であり、単価の高い非専門家です。

新たな事業創造という領域で業界トップクラスの外資コンサルティングファームと同じプロジェクトに入ると、同ファームの戦略コンサルタントが調査会社からのレポートと簡易なデスクトップ調査のみから、市場・事業ニーズはこれだからこれをするべき、といった提言を行うことがあります。

次のプロジェクトの発注を得るために提言すること自体がフォーマット化されているのでしょうが、開いた口が塞がりません。

良いインプットを仕入れていない非専門家が何を提言するのか不思議でなりません。クリティカルな情報が手に入る既存事業の戦略策定を支援する業務と、新たな事業創造を支援する業務はまったく別であり、それぞれの専門職がそれぞれに行うべきなのです。