俺達が神木奏馬の2日目の聴取をしている時、刑事課でも問題が起こっていた。
「黒崎さん……これはなんですか?」
刑事課長が目の前に立っている黒崎刑事に尋ねていた。刑事課長の机の上には〔辞職願〕と書かれた封筒が置いてある。黒崎刑事は理由を話し出した。
「課長。昨日の神木奏馬の聴取において小林の行いは看過できないものです。小林は神木がはっきりと殺意を認めていたにもかかわらず、その殺意を認めませんでした。理由は私が神木を救ってやれと言ったことに起因しています。今回の小林の不法行為の責任を取らせていただきたくお願いします」
刑事課長は目をつぶって考えた後、黒崎刑事に諭し始めた。
「小林の不正行為については、片倉の口頭での報告によるものです。こうして聴取記録を見てみると……どこにも不正は認められません。勿論、あなたのせいであるとも認められません。つまり、あなたのせいでもなく、小林の不正でもありません」
黒崎刑事は静かに聞いていた。刑事課長は話を続けた。
「この〔辞職願〕はお返しします。黒崎さん! あなたにはまだまだやってもらわねばならないことがありますよ」
そう言って黒崎刑事に辞職願を返した。黒崎刑事は頭を下げていた。
神木の聴取を終えた時、2人の警官が1人の男を連行してきた。ライブハウスで死体を見てしまった女の子の1人〔山口知佳〕の自宅近くで不審な人物を認めたため職務質問したところ逃げ出そうとしたので現行犯で逮捕したそうだ。
後日、男を聴取した刑事によると、男は極竜会の構成員で山口知佳を殺害すべく、山口知佳の帰宅時を狙っていたとのことだった。そしてこの構成員はもう一つ大事な情報を話した。久保京子の遺体を遺棄したことを認めたのだ。遺棄した場所は余りにもお粗末だった。東京湾だった。