だけどと、ほのかは一つため息をつく。

メーカー勤務の夫の給料が、ちと物足りない。営業成績はさほど悪くないようだが飛び抜けていいわけでもない。ほのかへのアタックはあんなに電光石火だったのに。

彼の出世はどうなるんだろう。ほのかは夫のあまり特徴もないが爽やかな笑顔を思い浮かべる。うん、冴子や美樹の旦那さんよりはほのかにいい。やっぱり大好きだ。ただ、出身大学は負けていた。二流、う~ん。二・五流といったところか。

なんとかせねば。ほのかは収益を上げるのは難しいと知りつつも、YouTube「ほのかのお出かけワンダフルポイント!」を始めてみた。

これは前職のデパートのお得意様や、他店の販売員のおばさま方の着こなしを見ていて仕入れたノウハウだ。おばさまたちはご自分の年齢より20、下手したら30くらい若いブランドショップに身銭を切る。

実際の外見と頭に描くご自分とは、かなりの隔たりがある。でもデパートに来るくらいなので、自分のプライドもお洒落意欲もまだまだお持ちなのだ。で、ほのかの出番と思った。

同年代のファッション情報は、インスタでアイコンになるような人が着るだけで拡散できる。自分は背丈も普通くらいだし、実はどちらかというと手足も短い。なので身近な一般路線がとれた。賢い選択と自分に拍手だ。

なぜならば最初の5本までは再生回数300~400と苦戦したものの実際にブランド名を出し、組み合わせなどを何パターンか提示していたら、いきなり数字が跳ねた。

気を良くして、身長や体重を重視、おばさまたちがもっとも気にするサイズごとの丁寧なアドバイスを施していったら、あっという間にチャンネル登録が5000になって再生回数は時によっては8万回を超えた。わかっていたことだが、世間は下半身太り、特にお腹周りを気にする人だらけだ。

そのうちに紹介した中では新興の類のメーカーから、うちのこれを紹介してくださいと公式にオファーが来た。そして、今ではかなりの対価報酬が入ってくる。

やったね、私、と思う。34にしてはきめの細かい肌、なんとか出産前に戻した体重、こんな私を更に輝かせるためには毎月のエステ代、美容院代、そして何よりもきちんと身体にフィットした服が必要。そのための軍資金なのだ。

そして何のことはない。YouTubeでは紹介しないハイブランドの服を着てお洒落をしたいのだ。なぜならばまだおばさんではないのだから。

次回更新は9月3日(木)、20時の予定です。

 

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