川本は、亀山に工場からファックスでハードウェアの仕様書を取り寄せるよう指示し、また、客先から来たサポートソフトウェアの初期の仕様書を探すように命じた。小倉ソフト社の担当者には、現在まで打ち合わせで受け取ったサポートソフトウェアの仕様と変更過程の内容の提出を依頼した。

ここで出てきた仕様書とは、製品やサービスなどが持つべき要件、機能、性能、品質などを詳細に記した文書である。発注者と受注者の間で共通の認識を持つために作成され、認識のずれを防ぎ、プロジェクトの成功と品質確保を目的とする。

何を作るか(What)を明確に示し、図や表などを用いて「あるべき姿」を具体的に表現するもので、開発方法(How)を示す設計書とは区別される。

工場からはハードウェアの仕様書がすぐに届いた。

川本は、確定仕様書の目次作りを開始した。サポートソフトウェアの内容や変更過程も出てきた。

最大の難関は、工程表である。客先のプログラムの完成が4月末では、危険すぎる。

ここは、プロジェクトマネージャーとしての賭けが必要である。川本は、工程表を書き始めた。客先のプログラム調整完了を4月15日とし、遡ってサポートソフトウェアの仕様の凍結を3月15日として、湯本社長に相談した。湯本は、担当者と話し込んでいたが、その工程が守られるならば、設定して良いと了解を得た。

現在の最新のサポートソフトウェアの仕様を小倉ソフト社の担当にまとめてもらい、仕様書としての体裁を整えてもらった。ハードウェアの仕様書のほうは、変更もなく工場調整できるとの返事を工場側からもらった。 工程表は完成した。確定仕様書の表紙、目次、各仕様書を作成して、10部コピーをした。

完成した確定仕様書を湯本社長、その担当者、亀山に配り、川本はすべて自分の言葉で説明をした。参加して聞いた者は、初めてプロジェクトの全容がわかったと言った。

時刻は午前4時を超えていた。

 

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