【前回記事を読む】呼ばれて行くと、そこは修羅場になった現場だった──問題の原因すら理解していない上司は「対策を立てろ」と簡単に言うが…
第1章 牛乳の味はほろ苦い
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「できるんですかね。どのように進めていくのですか」
「今回、工場の主要プロジェクトを解決してきたこの川本課長に実態を調査させ、解決を図りたいと存じますので、ご了解を賜りたく参上いたしました」
「川本さんは、このプロジェクトを完成できるのですか」と光浦主任が食いついてきた。
「川本さん、どうなんですか」と。
「まずは、何が問題で進捗していないかを把握しないとなんとも言えません。把握させてください」
「しかし、時間がないのですよ。悠長なことを言っていられないのですがね」
「ご迷惑をおかけしていることは重々承知しております。調査の時間を少々いただきたく、お願いいたします」
「いくら調べたって、進捗できないなら時間の無駄でしょうに」
「長くは、お手間を取らせません。少々時間をください」
竹本次長が、そんな二人の押し問答に口を挟んだ。
「光浦君。そうせっつかなくても良いじゃないか。川辺事業部長もこうして工場の重要メンバーである川本課長を連れてきて、なんとか対応しようとしているんだ。川本さんも、昨日の今日で、さっぱりわからない状態で来られたのだろうよ。少し時間をあげても良いんじゃないかね」
「ありがとうございます。我々が至らぬせいで、ご心労をおかけしていることにお詫びいたしますが、いかんせん担当が新人ということもあり、実態を掴み切れずにおりますので、川本を連れてまいりました。しばし調査の時間をいただきたく、お許しください」と川辺事業部長が頭を下げた。
「川辺事業部長。我々も社の命運をかけてこのプロジェクトに対応しています。万が一、5月に完成しないと、業績に大きな影響が出ると思われます。我が開発部としても、問われる問題となりますので、ぜひ、完成をお願いしたく存じます」と竹本次長が頭を下げた。
会議は終わったが、川本はこの会議室を借りて、亀山担当者と話をした。
川本は、亀山にこのプロジェクトに関する疑問をいくつかぶつけてみた。しかし、亀山も担当して半年になるが、このプロジェクトの完成形がわからないことが明白となった。
そうして、客先が要求しているサポートソフトウェアの外注先について聞いた。
亀山は、要求されているサポートソフトウェアの内容についても、外注任せで、外注先と客先で仕様を決めて進めているとのことであった。外注先は、神田にあるソフトウェア会社で小倉ソフト社とのことである。
川本は、すぐに小倉ソフト社を訪ねるべく、亀山に連絡させた。小倉ソフト社から承諾が来たので、神田に向かった。