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小倉ソフト社は、神田駅から数分歩いたところのビルの二階にそのオフィスがあった。ちょっと手狭であるが、こぢんまりしており、ソフトウェア会社の特徴である机は並んでいるが、作業者は少なかった。たぶん、ほとんどの者が注文先に出ていると想像できた。
午後4時近くになり、小倉ソフト社に入ると、社長の湯本が奥のほうから出迎えてくれた。
「湯本さん。工場の川本といいます。いろいろご苦労をかけているようで、申しわけないのですが、らくらく乳業さんからこの度、本社のほうに、強烈なクレームが来まして、先ほどまで川辺事業部長とらくらく乳業さんに伺いまして、その足でこちらにお邪魔しました。お忙しいと存じますが、お時間をいただき、現状の把握をさせていただきたく、お願い申し上げます」
小倉ソフト社の湯本社長は、40歳前後の快活そうな男性であった。話はしやすかった。
湯本社長は、亀山からの要請に応じて、急遽、このプロジェクトの担当のメンバー全員をらくらく乳業からいったん帰社させ、待機していてくれた。
問題に入ることになったが、まずは小倉ソフト社の言い分を聞くことにした。課題となったのは3点あった。
1点目は、当社が丸投げで発注したことである。亀山もその上司も、このサポートソフトウェアの内容を一切知らない状態であった。作業範囲が明確でないことが不安であるということだ。
2点目は、仕様がらくらく乳業から出ているのだが、この時期になっても仕様変更が多く、その対応に追われて進捗が遅れていることであった。
3点目は、当社が仕様変更に対応して交渉をしてくれず、要員の補充や残業代、資金の問題が出ていることもあって、このプロジェクトに対する意欲が減退しているということである。
川本は、湯本社長にこの3点の課題は、自分が対応して解決すると約束した。したがって、このプロジェクトの実態を詳しく教えてほしいと依頼した。湯本社長は快諾した。
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